鹿チャンネル

旅行好き食いしん坊の鹿と申します。

映画「空母いぶき」鑑賞

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久しぶりに映画館で映画を観てきました。
先月5月24日に上映開始されたばかりの「空母いぶき」です。
※極力ネタバレにならないよう気を遣ったつもりですが私のように真っ白の状態で映画観たいという方はスルーして下さいね。

あらすじ

wiki情報ですが原作のあらすじは以下の通りです。

あらすじ
20XX年10月、嵐の中で遭難者に擬装したと思われる工作員が、尖閣諸島の南小島に上陸し、「この島は中国固有の領土であり、中国本土の船舶を待つ」と主張する「尖閣諸島中国人上陸事件」が発生。さらに日本の領海に侵入を図る中国海警局の船舶と海上保安庁巡視船との衝突、調査目的で派遣された護衛艦への威嚇射撃と事態がエスカレートし、日本政府はなかば中国に屈する形で事態の収拾を図るが、中国の行動に危機感を覚えた首相は、同時に新型護衛艦の就役と、その艦船を旗艦にした新護衛隊群の創設を柱とする「ペガソス計画」の前倒しを決定する。

大人の事情もあるのでしょうが流石に実在する隣国とドンパチするような内容には出来ないので映画版では東亜連邦という建国3年目の架空の国に置き換えられています。
舞台となる場所も原作では尖閣諸島ですが映画版では沖ノ鳥島の西方450キロ波留間群島の初島という架空の島。原作は日本海側ですが映画版は太平洋側でかつ日本本土からそこそこ離れた場所に変更されています。

感想

あらすじをwikiから引用したのは私が原作を読んでいないからです。ですので原作と映画版の乖離についての感想とか評価は書けませんがかわぐちかいじさんの沈黙の艦隊は結構夢中になって読んだ読者の1人です。
でも学生時代の事なのでストーリーの詳細は覚えていませんが原作がそのかわぐちさんということと学生時代の懐かしさで映画館に足を運びました。
私は原作を知らないので原作読者が映画を観た上での感想を確認してから映画館へ行こうと思ったのですがよくよく考えるとその評価内容に引っ張られそうな気もしたので結局は予備知識を入れず真っ白の状態で臨みました。佐藤浩市さんの発言でSNSが炎上したのを知ったのも映画を観た後だったのでかなりニュートラルな状態で鑑賞できたと思います。

個人的には映画として大変見応えありましたし費用(上映料金)対効果という面でも満足です。
もともと軍事や法律の知識に縁がない、そんな私でも「流石にそれはナイだろ」と思うところは多少ありました。日本の領土、初島を不法占拠した建国3年目の国が空母や戦闘機を持っているところとかアレやコレ、、、。
ネタバレになるので「シー」です。

それはさておき自衛官の苦悩とかジレンマは映画を観て初めてその一旦に触れたというか想像を絶する任務だなと感じました。
映画のなかの戦闘シーンでも自衛隊が攻撃されて初めて応戦する。敵には国際法とか常識は通じない。
応戦するのだけど相手をボコボコにはせず自衛官は自分自身を戦場に置きながらも敵をなるべく死なせないように戦わないといけない。相手の潜水艦や駆逐艦を完全に沈められる状況にあっても
「敵の乗組員数百名の命が奪われる。」
という理由で敵艦を沈めないような攻撃しかできない。「しかできない」と言うより意図して応戦の程度を計算している。そういう意味でもやり過ぎない武力行使に神経をすり減らしている自衛官の緊張感と苦悩とがビリビリ伝わってきます。
部隊の中でも「とことんやってやれ」という意見と「戦闘を拡大させてはいけない」という意見の対立も見どころ。

この辺りは日常のいざこざや喧嘩に置き換えても相手をコテンパにやっつけてしまうと禍根を残す。相手は仲間を連れて反撃にくる。するとコチラも応じないといけない。そこで更に相手をコテンパにすると更に仲間を増やして刃物なんかも持ち出して反撃にくる。その繰り返しがただの喧嘩から命を落とすような事件にまで発展してしまうという事例に準えると「偶発的に喧嘩になっても勝ち過ぎず相手も自分も極力負傷しないような計算」という思考は日々の過ごし方の教訓にもなるような気がします。
仕事で意見が対立しても完璧に論破してはダメ、みたいな。

衝突が拡大し戦闘が戦争に発展するとミサイルが民間人の住む国土に飛んでくるようになるという最悪の事態を避けるためにも、敵に仕返しの口実や動機を与えない。
そして純粋に味方も敵も死なせたくないという自衛官の心理というのが伝わってきたように思います。
劇中でも戦闘によって自分の命をも危険にさらしている自衛官が戦っている敵を極力死なせないように戦う苦悩、自衛官に殉職者が出ても「かたき討ちを考えるな」と戒める上官、撃墜された自衛官を救出すると同時に撃墜した敵パイロットの捜索も行い救出する。そんなシーンを観ているとこの日本で一番戦争をしたくない、人を死なせたくないと真剣に純真に考えているのは自衛官なんだというメッセージが込められているように感じました。最敬礼。

映画じゃん、フィクションじゃん、どうせ自衛隊賛美だろ?って声もあると思いますが食わず嫌いは体に良くないので一度映画を観てみると少し考えが中和されるかも知れません。

原作を読んだ方のレビュー

原作は連載中ですが原作読者からのレビューは総じて酷評が多かったです。「いぶき観て楽しめたって人はこんな条件」みたいな感じで
「この映画で感動したとか考えさせられてって人は原作を知らない。」
「軍事や法律を理解してない、気にならない人は楽しめたんじゃね?」
「何故建国間もない国が空母もってるの?(それは私も同感)全くリアリティーがない。」

という内容が盛りだくさん。
あっ、私ほとんどの要件満たしてますw
酷評や批判の多くは「映画が原作に対して忠実に再現されていない」ってのが大半のようで、あとは冒頭の佐藤浩市さんの発言に関係してですが登場人物のキャラが変わってしまっているとか。
これらに対しては私は原作を知らないだけに比較対象がなく、やっぱり先に原作読者のレビュー読まなくてよかった。これだけ酷評揃いだったら映画観に行ってなかったかも知れません。

「俺、原作読んでるし」とか「俺、軍事や法律知ってるし」というマウントを恐れず感想を書いてみましたがあくまでも私の主観ですのでアレコレ論争する気はありませんのでね。
攻撃されても応戦しませんのでご了承下さいね。
連載中の原作、読んでみる事にします。

そうそう、キャストの1人、山内圭哉さんが凄くいい感じでした!
「いてまえー!」